2017年6月29日木曜日

クールでニヒルな小説、と童話

 最近読んだ本の中でおもしろかったものを。

 ジム・トンプスンの『内なる殺人者』
 主人公が、いっさいの迷いもなく殺戮をくり返していくクライム・ノベル。すごいクールだ。
 サム・ペキンパー監督、スティーブ・マックイーン主演の映画『ゲッタウェイ(1972)』の原作者でもある。この映画もクールだったな。
 〈傷だらけの天使〉の「Getaway 優しくしてくれるだけで」は、ここから来ている。
 そしてこの小説も『キラー・インサイド・ミー』というタイトルで映画化されている。これはぜひ見なきゃ。




 ブルース・スプリングスティーンが読んで号泣したという小説、コーマック・マッカーシーの『ザ・ロード』
 滅亡しかかった地球、父と子が、ただただひたすら南を目指して歩く。その一節を引用。

友達はいた?
ああ。いたよ
たくさん?
うん
みんなのこと憶えてる?
ああ。憶えてる
その人たちどうなったの?
死んでしまった
みんな?
そう。みんな
もう会えなくて寂しい?
うん。寂しい
ぼくたちどこへ行くの?
南だ

 クールを通り越して、恐ろしいほどニヒル。こんな小説は読んだことがない。ピューリッツァー賞を受賞したという。
 この小説も映画になっている。この内容をいったいどんな映像にしたんだろう。




 で、あまりにも人が死ぬ小説ばかり読んじゃったから、その反動で、佐藤さとるの童話『天狗童子』を読んでいるところだ。




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