2017年6月6日火曜日

日常を切り取るカメラマンの視点

 Bunkamura ザ・ミュージアムで開催されている『ソール・ライター展』へ。
 50年代はファッション写真も撮っていたが、人生のほとんどを自分の住まいのニューヨーク、ロウアー・イースト・サイド周辺だけで撮影し続け、人から注目されるのを嫌い、2000年代に入って再発見された写真家。

 何気ない風景を大胆な構図で切り取り、余白を開け、ピントを合わせる場所も独特だ。順路の途中にあった解説に「浮世絵が好きだった」とあって、なるほどとうなずけた。
 ストリートに積もった雪に車の轍、画面の右上に偶然のようにほんの少しだけ写った赤い傘(写真にある作品とは別)。1枚の写真の前で足が止まって、なぜだか泣けてきた。あまりにも何気ない写真だが、いくつもの物語を雄弁に語っている。ちょうど俺が生まれた年に撮影された作品だった。

 日常の風景の中にある一瞬の表情をとらえる。切り取ることで物語を生み出す。俺が音楽でやろうとしていることに、とても似ていた。


 ポスト・カードを買ってきた。〈ONE〉恒例プチ・プレゼントとして、直筆でメッセージを入れて3人に郵送するね。誰に当たるかはお楽しみに。


photo : Takuji


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