2018年2月9日金曜日

浜田省吾さんがくれた「Welcome Back!」

 ソニー・レコードからリリースした10枚のアルバムが、ダウンロード & ストリーミング配信されている。今は入手できないアルバムがここで入手できる。

 1991年の大切な思い出話を。
 アルバム《成長》のサウンド・プロデュースは、元モップスの星勝さん、安全地帯のギタリストの武沢豊さん、そして浜田省吾さんの右腕のギタリスト、町支寛二さんが担当してくれ、コーラス・アレンジは町支さんがやってくれた。
 町支さんの提案で、〈俺は帰って来たんだ〉のコーラスに、浜田省吾さんに参加してもらうことになった。

 レコーディング当日、スタジオのロビーにいたら、フラリと浜田省吾さんが現れた。それまで、ライヴの後の楽屋での挨拶などで何度かお会いしたことはあったが、自分のレコーディングに参加してもらうということは考えもしなかった。
 町支さんも来て、ほぼ完成した〈俺は帰って来たんだ〉をミキシング・ルームで聴いてもらった。
 1度ソニー・レコードから離れ、異例の復帰という時のレコーディングで、この歌で俺は当時の気持ちをそのまま吐露した。

君と別れてからずっと遠くまで
旅をしてきたんだ
冒険とバクチと若気の至りを
くり返してきた
馬鹿なことをしたと思うけど
後悔なんかしちゃいない
退屈と兄弟になるくらいなら
死んだ方がよかった

話しあってみないか
喧嘩でもいいから
どこかへ出かけてみないか
散歩でもいいから
君とやり直すために
俺は帰ってきたんだ

 浜田さんは用意していた歌詞を読みながら耳を傾け、そこにあったペンで歌詞の片隅にこう記した。

「Welcome Back!」

 それをそのままコーラスとして入れることになった。
 浜田さんと町支さんで一緒にコーラスを入れるため、2人はスタジオへ。俺はミキシング・ルームにスタンバイした。すぐに始めるのかと思ったら、2人はスタジオの奥にあるピアノに向かい、何かやっている。何だろうと思い、スタジオ中央にセッティングしてあるマイクのボリュームを上げてもらった。2人は発声練習をしていた。

「うわー、浜田省吾が発声練習してるぞ!」

 先輩だということも忘れ、昔ファンだった頃に戻ってしまった。

 コーラス・ダビングは順調に進み、途中で2人はミキシング・ルームに戻り、確認することに。
 戻って来た浜田さんが「じゃあ聴かせてください」と言ってサングラスを取った時は、「あ、見ちゃいけないのかな」と、目をそらしたりして。

 興奮の時間が流れ、コーラスは完成した。気持ちよく参加してくれた浜田省吾さんには、今でも感謝している。
 そしてその時以来、俺も日常での発声練習は心がけるようにしている。